なぜFLAGを受講しようと思いましたか?
私は福島で4代目の店主としてガラス屋を営んでいます。建築業などに携わる中で、使えるガラスや内装材を廃棄したり、住宅や建築のスクラップアンドビルドを続けたりしているうちに、「これは持続可能ではない」と思い始めました。そこで、廃材を再利用する方法を模索している時に出会ったのが「昭和ガラス」です。
古い建具に使われているガラスはもう製造されておらず、ステンドグラスの手法で繋ぎ合わせれば、新しい商品に生まれ変わるのではないか、と昭和ガラスを使った事業をはじめました。
そんな昭和ガラスのプロダクトを、ステージアップさせ、洗練されたものにしていくためには、レベルの高い場所で学ぶ必要があると悩んでいたところ、偶然FLAGに出会いました。
他のビジネススクールをいくつか検討したこともありますが、デザインのクオリティーをあげていきたいという思いが強く、「デザイン」そのものを学ぶスクールでないことはわかっていましたが、デザインの一線で活躍する日本デザインコミッティーのメンバーによる講義など、一流の先生たちによる授業もあることから、FLAGの受講を決断しました。
ただプログラム期間中と、仕事が忙しくなるタイミングがちょうどかぶっていて、大変になるのは目に見えていたので、それでもやるか?というのは仕事を一緒に行う妻とも話し合いました。最終的に本当にやりたいと思ったので、今こうして通っています。
FLAGを受講して得られた気づきや学びはありますか?
実は最初は、場違いな場所に来たかなという戸惑いの方が大きかったです。
でもレベルの高い学びと、出会ったことのない分野の方々との出会いは、思い切って飛び込んできたからこそ得られたものだと思っています。
新規事業を考えるグループワークは、自分の事業である「昭和ガラス」をテーマに進めています。様々な背景を持ったメンバーだったので、それぞれの意見やバックボーンを踏まえて議論して、最終的に昭和ガラスのテーマに決定しました。デザイン活用の授業で学んだユーザーインタビューを実践し、マーケティングの授業で学んだ内容を振り返りながら「ブランドをどこに位置づけるか?」を考えるなど、実際の事業につながる突破口を考えています。
いずれはこのFLAGを運営する松屋銀座で、自分の商品を販売できるところまで持っていけたら、という思いも持って進めています。グループワークでは、共通言語や思いを一致させることが一筋縄でいかず、難しいところもありますが、商品に対してお客様以外から忌憚のない意見を聞くことができる、というのはとても新しい気付きがあります。
今後のキャリアに対する思いや夢を教えてください
日本は廃棄をせずに、自分たちが入手した素材を大事に形を変えて使い続ける、金継ぎや裂き織のような文化を持っていますよね。
形を変えながら使い続けるのが当たり前になって、廃棄されるものが減っていく、そんな世界の一助になりたいと思って事業をしています。
ガラスと一緒に回収される建具を加工して、枠組みに使うことも増えているので、今後はガラスだけでなく違う素材の組み合わせで、新しいものを作っていく可能性もあります。
一方私の住む郡山市は、福島県では一番の経済都市ですがチェーン店が多く、高齢化によって、地元の魅力あるお店がどんどんなくなっていることを残念に思っています。
少しでも面白いお店が集まれるように、仲間たちと街づくりの活動をしているのですが、自分のお店の近くにクラフトビールのブリュワリーができるなど、ちょっとずつ新しい兆しがあります。今は昭和ガラスのステンドグラスをお店に納めさせてもらうなどのつながりがありますが、そういったことから始まる地域の連携も進めたいと考えています。
受講を検討されている方にメッセージをお願いします
真剣に事業を伸ばしたい、いい事業を作りたいと思っている方に、思い切ったジャンプをするのは大事ですよ、というのは伝えたいですね。
実りあるものがここにはいっぱいあるので、ぜひ勇気を出してステップアップの扉を開いて欲しいと思います。私は「自分の事業を伸ばしたい」という思いに突き動かされました。今回のメッセージに説得力を持たせるためにも、自分の事業で成果を出して、お手本にならなくてはいけないですね。
少し話はそれますが、銀座という場所に通うことにも、とても意味を感じています。
先日授業と関係ない時に、表参道のギャラリーに訪れたんです。アーティストの方の作品を自分のものづくりの参考にしたいと感じて、平日仕事を休んでまで行ったのですが、FLAGで銀座に通うことで、都会に来るハードルが下がっているのかなと感じています。以前の自分だったらきっと行かなかったと思いますよ(笑)
FLAGはそんないい影響も与えてくれています。